カケル「先生、高校倫理の自己形成の課題って、何だか漠然としていて、いまいちピンとこないんですよね。教科書にはいろいろな哲学者が出てくるけど、結局どうすれば自己形成できるのか、具体的な方法がわからないんです。」

テイス「カケルさん、自己形成というテーマは、確かに捉えどころがなく、難しく感じられますよね。漠然とした印象を持つのは、自己形成が、単なる知識の暗記ではなく、深い思考と自己理解を必要とする概念だからです。まずは、カケルさんの自己形成に対するイメージを具体的に知るために、いくつか質問させてください。カケルさんは、自己形成とはどのような状態だと考えますか？」

カケル「うーん…、自己形成って言うと、何かこう、理想の自分になるみたいなイメージがあります。でも、理想の自分って言っても、それが何なのかもよくわからなくて…。例えば、尊敬する偉人のように振る舞うのが自己形成なんですか？」

テイス「なるほど。尊敬する人物をモデルにする、というのは、自己形成の一つの方法を示唆していますね。しかし、自己形成は、単なる模倣とは本質的に異なります。カケルさんのように『理想の自分』という言葉を使うと、まるで予め決められたゴールがあるように感じてしまいますが、そうではありません。ここで、自己形成の鍵となる３つのポイントを提示します。それは、自己認識、自己決定、そして、自己超越です。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。まず、自己認識についてですが、カケルさんは自分のことをどれくらい理解していると思いますか？」

カケル「自己認識ですか…、自分のことって、意外とわからないものですよね。好きなものとか、得意なこととかはわかるんですけど、性格とか、考え方の癖とか、ちゃんと意識したことがないかも…。もしかして、それも自己形成に関わってくるんですか？」

テイス「おっしゃる通り、自己認識は自己形成の出発点であり、非常に重要な要素です。自己認識とは、自分の感情、価値観、能力、弱点などを客観的に理解することです。自分の内面を深く理解することで、何が自分にとって本当に大切なのか、何を目指したいのかが見えてきます。自己認識が浅いと、他者の価値観に振り回されたり、自分の本当の欲求を見失ってしまいます。では、自己認識を深めるために、カケルさんが今からできることは何だと思いますか？ヒントは、自己分析に繋がる行動です。」

カケル「うーん…、日記を書いてみるとかですか？自分の行動や感情を記録することで、何かが見えてくるかもしれない気がします。あとは、友達や家族に自分のことを聞いてみるとか？客観的な意見も参考にできそうです。」

テイス「素晴らしいですね、まさにその通りです。日記や他者からのフィードバックは、自己認識を深めるための有効な手段です。次に自己決定についてですが、カケルさんは普段、どの程度自分の意思で物事を決めていると感じますか？周りの意見や雰囲気に流されてしまうことはありませんか？」

カケル「うーん、結構周りの意見に流されちゃうことが多いかもしれないです。特に、進路とか、将来のこととか、親とか先生の意見が気になって、自分の本当の気持ちがよくわからなくなる時があります。自己決定って、そんなに大事なんですか？」

テイス「自己決定は、自己形成において非常に重要な要素です。自己決定とは、自分の意思で選択し、行動することです。他者の意見を参考にすることは大切ですが、最終的な決断は自分自身で行う必要があります。なぜなら、自己決定を通して、責任感や主体性が養われ、自己肯定感も高まるからです。カケルさんのように、周りの意見に流されてしまうことが多いと感じるなら、小さなことからでも良いので、自分の意思で決める練習をしてみましょう。例えば、今日着る服を自分で選ぶ、昼食のメニューを自分で決める、などでも構いません。自己決定の積み重ねが、自己形成を大きく前進させます。最後に、自己超越についてですが、カケルさんは、自己超越という言葉を聞いてどのようなイメージを持ちますか？」

カケル「自己超越…、うーん、ちょっと難しくてイメージしづらいです。自分の殻を破るみたいな感じですか？」

テイス「カケルさんの言うように、自己超越は、自分の殻を破るというイメージで捉えても良いでしょう。自己超越とは、自己中心的な考え方から脱却し、他者や社会、より大きな価値のために貢献しようとする姿勢です。例えば、ボランティア活動に参加したり、社会問題について深く考えたりすることも、自己超越的な行動と言えるでしょう。自己超越を通して、自分の存在意義を再確認し、より充実した人生を送ることが可能になります。さて、カケルさん。ここまで自己認識、自己決定、自己超越について説明しましたが、これらを総合的に考えると、自己形成とはどのようなものだと思いますか？」

カケル「うーん、自己形成って、単に理想の自分になることじゃなくて、自分のことを深く理解して、自分で決めたことを実行して、さらに社会に貢献していくことみたいな感じですか？結構、大変そうですけど、やりがいがありそうだなと思いました。」

テイス「素晴らしい理解です！その通りです。自己形成は、終わりなき旅であり、常に変化し続けるプロセスです。カケルさんが、今回の講義をきっかけに、自己形成というテーマについて、さらに深く探究していってくれることを願っています。最後に、今日の講義内容をカケルさん自身の言葉でまとめてみましょう。それが今後の学習への自信につながります。」